スラッシュキャリアとは?

フリーランス医師の作り方

前回の記事で予告した通り、今日はパラレルキャリアに類似した『スラッシュキャリア』という概念につき、紹介させて頂きます。

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スラッシュキャリア

その概念

2007年に作家であるMarci Alboherが著書の中で用いた言葉で、スキルや経歴、肩書などを複数持ちつつ幅広い領域で仕事を行うというキャリア形成の手法であり、人が複数の肩書きを持つことに対する「中途半端」「つまみ食い」といったネガティブイメージを転換させる契機となった言葉です。

たとえば、サッカーの本田選手は、
サッカー選手/元日本代表/経営者/投資家

アンジャッシュの渡部建さんは、
芸人/司会者/ラジオDJ/美食家 

で表されるように、スラッシュによって色々な肩書きを持つことによって、マルチタスクな人間であることを表すそうです。

実はスラッシュキャリアというのはSNS上でセルフブランディングの際に用いる手法として作られた戦略という側面も持っておりまして…個人的には、こういった背景があることから、スラッシュキャリアにはあまり良い印象を持っていませんでした。
いわゆる
「起業コンサルブランディング詐欺」や「キラキラ起業女子」
的なやつです(笑)

スラッシュキャリアがおよぼす影響

スラッシュキャリアとしてなにか一つの軸(肩書き)があることが望ましく、それをメインとして様々な肩書を派生的に付け加えていけるのが理想です。

また、それぞれのスラッシュの間にギャップやバリエーションがあると、それぞれの仕事のイメージを良い意味で補完できるとともに、希少価値を持つ事が可能となります。

希少価値と言えば…以前の記事で紹介した【(100人に1人の能力)✕3=100万人に1人の能力】という掛け算の話において、その能力が様々な分野に至るというイメージでしょうか。

必ず食える「1%の人」になる方法 | リーダーシップ・教養・資格・スキル
世界をまたにかけて活躍するグローバル・スーパーエリート以外の人たちが、これからの時代を生き抜くための極意。それは1%、すなわち「100人に1人」のレアな人になること。『藤原和博の必ず食える1%の人になる方…

過去にも、キングコング西野さんや堀江貴文さんはこの概念を繰り返し提唱しており、キャリアデザインに取り入れるべきと語っていました。

特に堀江さんは著書の「他動力」において、全ての産業が横に繋がりつつある今では、高度専門性を持つ肩書きの優位性が失われるとともに様々な専門性同士をリンクさせて行く能力が求められることから、100点の能力を一つ持つよりも80点の能力を複数個所持することを勧めています。

パラレルキャリアとスラッシュキャリア

ちなみに、パラレルキャリアとの違いを簡潔に言い表すと、

パラレルキャリア:個人が肩書きの異なる複数の名刺を持っている

スラッシュキャリア:個人の名刺に様々な肩書きが記載されている

というイメージになります。

パラレルキャリアは事前に作成した計画のもと、自分のスキルや周囲の環境を整えて準備を進めていくのに対して、スラッシュキャリアのコンセプトというのは、
「自分の興味のあるものに、手当たり次第に挑戦していく」
というノリと勢いが重要だそうです。

パラレルキャリアを志向しつつ、様々な理由によって最初の一歩が踏み出せない人にとっては、背中を押してくれるような存在になるかもしれませんし、肩書きを気楽に増やすという感覚を持つことでモチベーションのみならず、自己効力感にも良い影響が生まれるでしょう。

ちなみに、私のTwitterアカウント(@orthfreelancedr)のプロフィールはこんな感じのスラッシュが入っています。

医師としての名刺の後ろに不動産賃貸業や飲食店のスラッシュが入っていたとして、ビジネスで繋がる人々にとってはちょっと面白い存在かもしれませんが…同業者や患者さんの立場となる人ならどう感じるでしょうか?
個人的には、スラッシュキャリアという概念は使い方を弁えておかないと、医師にとっては諸刃の剣になってしまう存在なのではないかと考えています。

スラッシュキャリアを志向する効果

いわゆる、「人材タイプ」を変化させることができます。

よく言われる人材タイプとしては、
・I型人材(スペシャリスト)
・T型人材(シングル・メジャー)
・Π型人材(ダブル・メジャー)
・H型人材(イノベーション)
あたりが、代表的なものとなります。

医師は、医学的な深い専門知識(+その周辺知識)を有する職種ということで…I型(or T型)人材にあたりますが、スラッシュキャリアとして肩書きを増やすことで、Π型やH型に人材タイプを変化させることが可能です。

増やした肩書きの分野における能力を専門職と同レベルまで高める事ができればΠ型に、そこまでの専門性を持たずとも、他職種の言語が理解できる能力を身につけることができればH型として活躍することが可能でしょう。

特に、H型のタイプは他の職種や領域との『ハブ』となる重要な立ち位置として機能することができるタイプであり、医療に隣接する領域とのリンクマンとなることができます。医師の能力を活かしたパラレルキャリアを考えているのであれば、この立ち位置を目指すという方法が比較的ハードルが低い方法となりますね。

そしてこの概念は、医療の世界においてもスキルアップやキャリア形成の際に有用な概念でもあります。サブスペシャリティの分野を検討したり各種資格を取得する際には、意識してみては如何でしょうか。

まとめ

キャリア形成の概念として近年注目されている、スラッシュキャリアについて紹介しました。

多様性を持つ複数のスキルを身につけることで、キャリア形成や人材タイプの形成においては非常に有用な概念です。

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