大学医局に所属するメリット

病院・医局の話

こんにちは。フリーランス整形外科医(@orthfreelancedr)です。

最近、ドラマ『白い巨塔』が放映されていたことで、医局という存在を改めて意識する機会がありました。私も大学医局には10年間在籍しており、(浪速大学の第1外科ほど)厳しい雰囲気ではなかったものの、教授回診はドラマの感じさながら皆でぞろぞろと歩いていた事を思い出します。

私は平成13年卒ですが、その頃の新卒医師は直接医局に入局し、即専門科目の診療を行うという研修パターンが大半を占めていました。現在の初期〜後期研修というシステムがなかった頃とは全く違うため、現在の状況とは異なる環境だったというのは重々存じております。

とはいえ地方大学医局員の立場で10年、民間病院で複数の大学医局から派遣される立場として6年、フリーランスとして2年働いた中で、大学医局をいろいろな角度から見てきたので…そのあたりのメリットを、個人の見解として紹介してみたいと思います。

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大学医局のメリット

①教育・研修環境

大学医局の関連病院がそのままその地方の拠点病院となっているため、医局人事で各病院をローテーションすることがそのまま最高の研修環境となります。また、大学付属病院では最高レベルの専門的な医療に携わる機会も多くなります。

また、医局に属することで基礎研究や留学の機会を得ることができますし、学位&資格取得に関しても一般的に大学医局の方が恵まれた環境にあります。アカデミックな仕事を志向する人は、医局以外での仕事は難しいでしょう。

そして、自分の志向する専門領域を選択し、専門性を高めてスペシャリストとしてのスキルを持つことができるというのも医局のメリットとなります。市中病院でも専門性を身につけることは可能ですが、専門領域の選択肢はかなり限られてしまいます。

特に地方では、大学医局が3次医療圏内の基幹病院を抑えていることが多いので…自分のキャリアパスの形成における自由度や多様性という面において、医局内でローテーションができるというメリットは大きいように感じます。

②雇用環境

個人的にはこれが一番のメリットと感じましたね。若くて何もできなかった1〜2年目の頃も含め、医局に在籍していた10年間は環境面がかなり高いレベルで安定していたので、個人の力を伸ばすことができました。

その一方で「仕事ができない」人も医局員である限り、必ず毎年雇用先が保証されるという一面もあります。関連病院内のローテーションはあるものの、よほどの事件でもない限りは医局を除名されるということはないはずです。

また、ウチの医局は医局員のアルバイトについても最低賃金(外来半日5万円、休日日当直12万円…etc)を保証するよう医療圏内の医局関連外病院にアプローチしてくれるなど、今から思うとかなり手厚く保護してくれていました。

刑事事件で医業停止処分を受けた医師に対して大学院進学+処分停止明けのアルバイト斡旋を行い、大学院卒業と同時に常勤へ復帰という手厚いサポートを行ったという事例も実際にありますので…セーフティーネットとしては最強の存在ですね。

③人的交流

そもそも医局に入るとその時点で100人以上の医局員と一瞬で繋がりますし、それに加えてOB・OGもその何倍、何十倍と存在しますので、ローカルエリア内での人脈作りは容易です。また、2次〜3次医療圏内の病診連携交流についても、医局に所属して大学病院や複数の基幹病院で勤務することはかなり有利に働きます。

一方、学会や専門領域における人的交流については個人の活動実績や積極性、キャラクターに由来する部分が大きくなりますので、医局でも市中病院でもそれほど大きく変わるものではないでしょう。

SNSが広まった現在では人と人がつながることのハードルが下がっているため、この点での差はあまり大きくありません。とはいえ、関連病院から後方支援病院への転院というようなケースにおいては、出す方としても受ける方としても、大学医局の存在感を感じるということがしばしばあります(笑)

④子育て支援

子育て当事者にとっての産休&育休の手厚さは、医局にいようが民間に就職していようが大きな違いはないと思います。

ただ、ウチの医局は整形外科で女性の少ない科ということもあり、子育てに対する人的支援が保証されており、その期間中の補充人員を出した上で当事者の希望によっては育休中も非常勤医として勤務ができるという支援体制でしたので…±0よりはプラスに振れるという収支計算でした。

私が医局に在籍していた頃は、自分がこの恩恵を受けたことはありませんが…この恩恵を受けた同期が言うには、周囲に仕事面で負担をかけるようなことは一切なかったので、休暇を取る側としても気持ち的に楽だったそうです。

⑤信用と繋がり

医局に入らずとも医師として医療活動を行い、成長していくことは可能です。

ただ、個人がいかに傑出した能力を持ち、優れた診療を行っていても、それを遥かに上回る「口コミ」や「信用」を持つのが大学医局でもあります。医局の繋がりを利用することで効率良く研修を積み、コネを用いて様々なチャンスを得ることができるというのも、厳然たる事実だったりします。

私自身は、これこそが医局に所属する最大のメリットだと思いますね。

フリーランス医師の活動に活かされた部分

医局に属していたことで最も良かったことは、やはり医師スキルを高めることができたという点ですね。私の場合には医局内で膝関節、関節鏡、スポーツ整形外科という3つの領域におけるスキルを身につけられたということが、今の活動の土台となっています。

また、私の場合には医局に在籍していたことで、地元医療機関における病診連携については非常に助かっていますし、仕事でリンクする若手などはしっかりと指導しなくてはいけないという意識を持っています。

医局を辞めるとその地域での医療活動や就職ができないというコメントも散見されるのですが、実際に大学医局が関連する医療圏でそこまでの支配力を持つ医局というのは、存在したとしても少数派だと思います。

医局在籍時代における自身の活動内容や評価されていて、周囲との人間関係が良好であれば、その医局が支配する地域の医療施設で勤務する方が様々なストレスを感じることなく働ける…というのが私の率直な感想です。

次回予告

本来はメリデメという形で一つにまとめたかったのですが、文字数が長くなってしまうためにシリーズものとして展開することにします。

次回は、【大学医局のデメリット】を紹介いたします。

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