医師のインセンティブ契約

雇用契約&労働環境

こんにちは。フリーランス整形外科医(@orthfreelancedr)です。

フリーランスの立場だと、契約交渉の際に様々な希望を出すことができますが、その表現系の一つとして「インセンティブ契約」という形があります。自分の場合、勤務医時代は年俸制の契約を行っていたのですが、フリーランスとなってからは、

【基本給(日給)+インセンティブ(出来高)】

という形の契約を結び、勤務をしています。

また、厳密にはインセンティブとは異なりますが…収入にこだわりたいのであれば【完全出来高制】という方法もあるでしょう。

この記事では医師がインセンティブ契約を結ぶ際の注意点やメリデメ、項目&条件の提示に際する留意点についてご紹介いたします。

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インセンティブのメリット/デメリット

メリット

収入や時間の支給による、モチベーションの向上という部分こそが最大のメリットです。

あとは、実力?仕事量??が正当に評価されることによって、職場内でハードワーカーの存在として大きな負担を背負っている立場の医師は、ストレスが減少することでしょう。

デメリット

自分の勤務成績や周囲からの評価によってインセンティブが減少し、モチベーションに負の影響を与える可能性があります。

インセンティブの有る無しや、成果を出しやすい科目間格差により周囲との収入格差が生まれる可能性があります。チームワークに対する悪影響や、ノウハウの共有がされにくくなるといったリスクがあるということですね。

また、基本給に対するインセンティブの割合が高くなるほど、収入の振れ幅が大きくなる=収入が不安定になる傾向があります。

インセンティブ項目

日勤の場合

  • 外来インセンティブ
  • 手術&検査手技インセンティブ

の2つが代表的です。

外来インセンティブとしては診療報酬点数に伴う歩合制が最も一般的な形ですが、受診人数や外来担当コマ数に比例して、完全出来高制とした報酬を受け取るパターンもあります。また、初診患者分の診療報酬のみをインセンティブ対象とするという設定や、売り上げの基準額を設定し、その金額を超えた分をインセンティブ対象とする、という形の契約をしている先生もよくお見かけします。

手術&検査手技インセンティブの場合は、診療報酬点数によって金額を設定するという形が一般的です。海外では手術の難易度をスコアリング化した上で、その難易度に応じて報酬額を決めるという形もあるようですが…日本ではまだ、殆ど行われていないのではないでしょうか。

必ずしも「金銭」である必要はなく、「時間」で支給を受けることも可能です。研修出張や特別休暇という形で支給を受け、海外学会や家族との休暇にあてるというのも良い方法ですね。

当直の場合

寝当直のような病棟対応が中心の当直勤務の場合にはインセンティブ契約を結ぶのは難しいでしょうが、救急当直の場合は救急車の台数や入院件数によって出来高を設定することが可能です。

私個人は基本給に加えて手術に対するインセンティブを受け取るという形の契約を結んでおり、手術手技料の10〜15%(すなわち、診療報酬点数と同額〜1.5倍の金額)を上限なしの出来高支給という形で頂いております。

①人工膝関節置換術⇒②関節鏡視下半月縫合術⇒③膝前十字靱帯再建+半月縫合術というように1日3件の手術を行うと、インセンティブが10〜15万円というイメージですね。

基本給とインセンティブの割合

私の場合は基本給8.5〜9:インセンティブ1.5〜1という割合という実績ですが、この割合については個人の考えや雇用者側の希望によってかなりの自由度があると思いますし、絶対的な正解は無いと考えています。

ただ、インセンティブをもらうようになって感じたことは「自分が求める給与水準」という部分はできるだけ基本給として支給を受け、インセンティブについてはあくまでプラスαとしての存在とする形が良い、ということでした。

具体例を挙げると、

  • 日給12万円+インセンティブ10%(3〜6万円)
  • 日給8万円+インセンティブ20%(6〜12万円)

という2つの形がある場合には、前者の方がベターであると考えておりますので…その理由について次項で説明いたします。

インセンティブ契約に関する注意点

まず、インセンティブ契約というのは雇用者と個人の契約であるため、個人の成績に連動します。会社の業績に連動している賞与(ボーナス)とは性質が異なるため、会社の業績に拠るものではない事を理解しておきましょう。

また、各種トラブルを避けるために評価方法を明確簡便にするということが重要であり、第三者や部外者が見たとしてもわかりやすい評価にすることが理想的です。

また、医師の場合にはその職種背景を考慮し、インセンティブの割合は低めに抑える方が良いと考えています。

治療方法を選択する際に、売り上げがインセンティブにある場合には少なからず影響を与える可能性も否定できませんし、万が一でも医療係争のような不測の事態に陥った際にインセンティブの存在が曲解される可能性もあると考えると…その割合を高くするということは、必ずしも得策では無いと思うのです。

医療業務においても【評価に繋がりやすいか、否か】という部分だけを判断基準として、業務にフォーカスする傾向が出る可能性がありますので、自分の診療における思考や視野、判断がインセンティブに影響されていないという事を、客観的に評価するということが必要です。

また、以前もお話したことの再掲となりますが…一般的にインセンティブ契約に用いられる【基本給+α】という契約形態は、基準(想定)の売り上げを満たさない場合には雇用者側だけが損をしてしまうという、『雇用者側にとってはリスクがある』契約形態でもありますので、インセンティブ契約を結ぶ場合には、雇用者のリスクを理解した上でしっかりと成果を出し続けることが重要であると考えます。

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