フリーランス医師が感じる最大の悩み

フリーランス医師の作り方

私が常勤医からフリーランサーに転向する際に最も悩んで、今でも試行錯誤している懸念事項が一つあります。それは…

 【自分が不在時の患者フォローをどうするか?】

という事です。

実はこの問題についてはデメリット関連の記事で一緒に紹介しようと思っていたのですが、メリデメという次元に留まらず、自分の医師としての矜持や倫理観、患者に向き合う姿勢が問われるような根本的な問題でしたので、それに対して自分がどのように考えてきたかということを(自省を込めて)紹介させて頂きます。

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不在時間増加に伴う問題

勤務施設数増加≒不在時間増加

通常の勤務医であれば、1週間に4〜4.5日は所属施設で勤務するため、不在時間は1週あたり2.5〜3日(休日+研究日)という事になります。多忙な施設であれば研究日で平日に病院を空けることすらストレスを感じることさえあるのに、フリーランスとして複数箇所で勤務するようになると…不在時間が一気に増加します。

週に2〜2.5日ずつ2箇所で働くとすると施設不在時間は4.5〜5日、1.5日ずつ3箇所で働くとすると施設不在時間は5.5日にもなり、この不在時間は特に入院患者においては大きな影響があります。

もしあなたが入院患者だとして、このような立場の医師に対して全幅の信頼をおくことができるでしょうか?

周りの患者さんは毎日主治医との会話や診察があるにも関わらず、自分だけその機会が極端に少なければ不安を感じると共に、治療の結果が自分の予想と異なれば主治医に対する不満を抱く可能性も高いはずです。

入院診療に伴う問題

私は手術と専門外来をストロングポイントとした立場ですから、当然仕事の中心には手術があり、手術に伴う入院治療には回診や各種検査結果の確認といったフォローアップ業務が存在します。

実は私がフリーランス転向の際に最も悩んだのは、自分が不在時の患者フォローをどのように行っていくか、という問題でした。

スポーツ整形領域では元気な患者さんが多いという背景はあるものの、術後経過観察および合併症の予防・早期発見など、執刀医が責任を追うべきものは多々あり、その責任を十分に負えない立場で手術だけをするのは如何なものか…というのが私の倫理観ですので、責任を持てるだけのバックアップ体制を構築しなければフリーランスという立場で手術をするのは厳しいと感じておりました。

外来診療に伴う問題

外来診療に特化したフリーランス医師であっても、外来コマ数が少ないことで緊急時における主治医の診察をスムーズに受けられない、外来通院のスケジュールを合わせるのが難しいなど、結局しわ寄せは患者さんに行くことになります。

医業がサービス業としての評価をされている昨今、このような状況はお互いに好ましいものではありません。

対応方法

自分が考え、取り組んでみた対応方法を紹介いたします。これらが全てのフリーランス医師における最適解となるわけではありませんが、ご参考になれば嬉しいです。

勤務施設数を絞る

日替わりで多くの施設で働くよりは、1〜2ヶ所に絞りたいところです。不在時間を最小限にとどめたいという考えがベースなのはもちろんのこと、3ヶ所以上の施設勤務というのは行動スケジュール的にも結構な負担になりますので。

私の場合は当初3ヶ所で勤務していたのですが、…術翌日もOpe患の回診をできるように週間勤務スケジュールを組もうとすると自分の動きが非常にタイトになってしまうため、最終的に勤務先は2ヶ所に絞りました。

勤務先同士を近隣にする/勤務先を自宅近くにする

こうすると別の勤務先への出勤前や退勤後にちらっと病棟に寄ることができますし、職場を自宅近くにすることで、平日夜や土日に少し空いた時間を使い患者さんの顔を見に行くこともできます。

私自身は自宅から10分ほどの近隣施設&自宅から5時間ほどの遠征先施設の2ヶ所で働いているので、実現できているわけではありません。しかし、ちょこちょこ顔を出せる近隣施設においては、侵襲の大きな手術やハイリスク患者の入院における精神的なストレスが減少する事を実感していますので、今後は自宅近隣に勤務を集中させていく方針で考えています。

同僚の協力を仰ぐ

私が最もお勧めするのは、『自分に近いマインド&自分と同等〜それ以上のスキルを持つ同僚がいる施設で勤務し、不在時の診療について協力をお願いする』という作戦であり、これは非常に有効です。

協力して頂く常勤医には、何らかの形でフォローに対する感謝とお礼をするというのはもちろんのこと、不在期間中における各種指示出しやマネジメントに漏れがないよう留意することで、余計な負担をかけぬよう心がけましょう。

とはいえ、協力して頂く相手方にとっては雑用が増えるだけですので…簡単にお願いできることではありませんが、私の場合は若手常勤医の前立ちや指導をするのでその先生に協力をお願いすることが多いですね。こちらとしても若手の成長が自分の利益に直結するので指導にも熱が入り、全てを惜しみなく伝えたいという気持ちになれます。

また、事前の契約交渉の場においてバックアップ体制の話し合いをきちんと行い、契約に盛り込むには至らずとも、お互いに確認をしておくことが大切です。

わかりやすい診療録を作成する

代診医師が患者の状況を把握するための大切な資料となりますので、カルテはしっかりと記載しておきましょう。これ、非常勤医に限らず医師にとって基本中の基本なのですが…あえて書きます(笑)。

形式にこだわる必要はありませんが、診断と経過、現状の評価と今後の方針がわかるような記載を行うことが重要です。紙カルテの場合には、キレイに(読める字で)書く!ということも忘れずに。

これは周囲の医師からの評価にも繋がります。

馴染みのある施設で働く場合を除き、フリーランス医は常勤医からすれば得体の知れない「外様」ですので、共有事項である診療録はしっかりと作成して周囲の信頼を得られるよう心がけましょう。

カルテ記事の質=記録した医師の評価、と考える人は決して少なくありません。

カリスマ的存在になる

この問題に対する究極かつ至高の答えは、天皇陛下を治療した天野先生や、脳神経外科の福島先生、心臓外科の南淵先生のように『神の手』と呼ばれるカリスマ的存在になることです。

ここまでの存在になれば患者さんが主治医の不在を気に病むことはないでしょうし、同僚の医師・コメディカルも自分のワガママを聞いてくれるはずです(笑)

まぁ、私レベルではとてもそこまでの存在になるというのは無理ですので…この選択肢以外の方法を取りますけど、ね。

まとめ

私がフリーランス医師になって最も悩んだ【不在時における患者フォローの問題】を紹介すると共に、勤務施設数および勤務場所の調整、信頼できる同僚医師との協力体制構築、申し送り資料としての充実した診療録作成、といった各種対策方法を紹介しました。

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