フリーランス医師のキャリアデザイン&パラレルキャリアのススメ

フリーランス医師の作り方

キャリアデザインとは、自らの人生や自分の職業に関する将来を設計・構想(イメージ)することと定義されます。短期から長期の目標を決め、それに必要な要素を考え、そのために必要な行動の優先順位を決めて動きつつ、その成果を振り返るというものです。

端的に表すと、【仕事にて実現したい将来像と、その将来に近づくためのプロセスを明確にすること】って感じでしょうか。他職種におけるフリーランサーにとっては、必須のものであるとされています。

医師のキャリアデザインとしては診療の腕を磨いて専門医資格を取ることが必要最低限のポイントとなりますが、それに加えて大学病院では論文を量産していくことが自分のポジションを押し上げることにつながり、助手から講師⇒准教授⇒教授という道を拓きます。

一般病院であれば自分のスペシャリティを持ちつつジェネラリストとしての守備範囲を広げることが、管理職やさらにその上に向かうための通行手形というところですね。

さて、フリーランサーの立場になった医師は、どのようなキャリアデザインを志向するべきなのでしょうか?その答えにつき、考えてみました。

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フリーランス医師にキャリアデザインは必要?

先日、私が愛読している『いまだ金と時間を持たざる医師たちへ』ブログにて良記事が掲載されました。

点を打ち続けたものをつないだ結果が現在の自分におけるキャリアだとすると、短期〜中期のキャリアデザインは必要であっても、長期的なデザインを考える意味はどういった所にあるのでしょうか?

私自身はその必要性を感じず、フリーランスとして活動を始める際にもそのあたりの長期的なデザインは一切考えていなかった、というのが正直なところです。

私自身は短期〜中期(2〜4年)のスパンでスポーツの仕事に注力したいという直近の目標を達成するためにフリーランスという働き方を選びましたが、スポーツの世界で達成感が得られたら、また通常の勤務医に戻る可能性も十二分にあります。

このように、医師の世界では医師免許と標準的なスキルさえあれば給与ベースが高いぶん、キャリアの自由度も高い、というのが他職種と比較しての圧倒的な優位性であり、それがあと15〜20年くらいは続くと予想されることが、長期キャリアデザインは不要だと考える理由です。

とはいえ、将来的に選べる選択肢を増やすために『医師スキル』をある程度のレベルで維持する必要はあるので…そのための戦略というのは長期のデザインに該当するのかもしれませんね。

また、基礎と臨床の棲み分け、大学院進学といった環境変化というのもキャリアデザインの要素として考慮すべきでしょう。

あとは、AIやイノベーションによる医学の進化に伴い自分が持つ専門領域の環境が変化する可能性についても考慮しておかなくてはなりません。

整形外科領域で言えば生物学的製剤の出現によってリウマチに関連する四肢関節高度変形に対する手術はレアなものになりました。消化器内科だと下部消化管内視鏡検査はカプセル内視鏡の出現によって今後大きく変化していきそうですよね。

このような変化が5〜10年という短いスパンで起こり得るのが医学の世界ですので、そういった予測も長期的なデザインとしては必要になります。

医師の場合は【キャリアデザイン << ライフデザイン】

医師が突然フリーランスになったとしても、日々の診療で行うべき業務の内容というのはあまり大きく変わるものではありません。自分の今持っているスキルを最大効率化して稼ぐというのが毎日のタスクであり、自分の積み上げてきたキャリアをリセットして別の診療科や専門分野を一からやり直す、というのは実例としても非現実的です。

むしろ、今の自分にとって医師キャリアがどれだけの重みを持つのかということを時折確認しつつ、現状に合わせて仕事に注力するエネルギーの比率を変えていくという作業のほうが重要であると考えます。

20〜30代前半まではキャリアアップのみに集中しやすい環境ですが、30〜40代以降になると資産形成や健康面を考慮する場面が増え、家族がいれば配偶者や子供と過ごす時間の方がキャリア形成より遥かに重要である、という価値観が生まれるかもしれません。

そういったライフスタイルや価値観の変化が起きるタイミングにおいてフリーランス医の立場であれば、その都度自分のワーキングスタイルを適宜変えていく、という生き方を選ぶことが可能となります。

パラレルキャリア

これは、『もしドラ(もしも高校野球のマネージャーがドラッガーの…以下略)』で有名な、ピーター・ドラッカーさんの提唱した概念です。

今まで散々話してきた通り、そもそも医師というのはその優秀な国家認定資格のおかげで、たとえキャリア戦略無しでフリーランスになったとしても、食べるのに困ることはないはずです。

そんな医師の皆さんに私がオススメするのは、通常の医師キャリアに加えて『医師とは全く別のキャリア=パラレルキャリア』を作り、そこにもエネルギーを注力して活動を行うという生き方です。

このキャリアは単純な収入や利益を追求するものではなく、将来に向けた自身のスキルアップや経験、人脈の構築、価値観の多様化などを目的としたものとなります。

それはスタートアップビジネスや副業でも良いですし、非営利団体やボランティアの活動でも良いでしょう。

病院内や医局内のように、医師だけのコミュニティーで完結しがちな自分の世界を外の世界に拡げていくことによって様々な経験をすることは、自分の思考を豊かにするとともに、医療知識以外の各種専門知識を身につけることに大いに役立ちます。

特に医師にとっては、ファイナンシャルリテラシーやビジネスマナー、種々の社会的常識を身につけるということが、本業においてもサイドビジネスにおいても、非常に大きな武器になる可能性があるでしょう。医師免許にこれらの要素を付加するだけで経済的利益を得られるチャンスというのは、実はあなたの足元にもたくさん転がっています。そして、それがいつしか本業に対するバックアップとして働くだけでなく、本業を遥かに超えた大きな収入を生む可能性も大いにあるのです。

私のようにスポーツの世界で働く医師であればパラレルキャリアの概念と恩恵は瞬間的に理解できるでしょうし、企業と組んで開発・販促を行う医師や、種々の事業活動を行っている医師も、同様の理解を頂ける存在ではないでしょうか。

まとめ

他職種のフリーランサーには必須であると言われているキャリアデザインについて、フリーランス医師はどう向き合うべきかという問題につき考えてみました。

現状では医師免許の特殊性や優位性が顕著であることから、フリーランス医師において長期的なキャリアデザインの重要性は低く、ライフデザインを重視した働き方を選択することが可能です。

医師キャリアと並行してパラレルキャリアを形成することは非常に有益であり、その効果としては、自己のブラッシュアップや新たな人脈・価値観の構築、本業に対するセーフティネットとしての作用などが挙げられます。

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